世界の大豆やアメリカの大豆製品事情について

最近では、環境意識の高まりから、SDGsやサステナビリティという言葉を目にすることが増えているのではないでしょうか。食品や原材料でもプラントベースが注目されており、大豆や豆乳もその例外ではありません。

そこで今回は、アメリカ大豆輸出協会 (USSEC)の立石雅子さんに、大豆についての様々なお話を伺いました。

自己紹介をお願いします。

立石さん: 2003年にアメリカ大豆輸出協会(当時のアメリカ大豆協会)に入社しました。入社当時は、食品大豆のスペシャリストとして、アメリカ大豆の中でも、否遺伝子組み換え大豆の分別流通生産管理の促進や、アメリカ大豆の輸出促進と需要喚起に取り組んでいました。現在は、大豆の油や、飼料などのマーケティングも担当しています。

現在、大豆は、世界においてどのような変化が起こっていますか。

立石さん:大豆は健康的で、様々な食品や製品に活用することができる、多用途な食材です。そのため、世界での大豆の需要は、常にものすごく増加しています。過去30年間での需要は、とうもろこしや小麦などの主要穀物と比較しても大豆が断然トップで、264%も需要が伸びています。そのため、取り合いまではいかないものの、人口増加による影響で、一部ひっ迫を起こしているところもあります。

世界の大豆の用途や、アメリカでの大豆製品の需要について教えてください。

立石さん:大豆全体でみると、用途の多くは動物の飼料です。大豆貿易全体の6割以上を、中国が消費しており、動物の飼料や油が大多数を占めています。食品だけを見ると、全体を占める割合は10%以下くらいです。ですが、ここ10~15年くらいで、世界的にサステナビリティの潮流に乗り、プラントベース製品がトレンドになっています。そういう意味では、大豆の食品はアメリカでも(日本でもそうですが)じわじわと、再認識されて需要が伸びていますね。大豆の食品の消費量を比較しても、中国をはじめとしたアジアが、大豆食品を食す文化のため消費量が多く、アメリカは全体の中では少ないのですが、ベジタリアンの方なども昔からいるので、一定の需要はあります。大豆生産国という意味では、大豆たんぱくや豆乳の成分など、色々な研究が昔からされてきています。豆乳市場も、日本よりアメリカの方が大きいですし、豆乳製品や大豆製品は大体、どこにでも売られていますね。主に豆乳・豆腐・味噌・醤油は、日系ではない一般的なスーパーなどでも普通に買うことができます。

近年ではSDGsの側面からも注目されている大豆ですが、アメリカにおける、サステナビリティと大豆について教えてください。

立石さん:USSECでは2013年にサステナビリティ認証というものを作り、消費者に向けて情報発信することに取り組んでいます。認証されたメーカーはマークを付けることができ、産地の環境対策などを消費者へ公開しています。近年では、このような消費者向けの動きがありますが、もともとアメリカには、80年以上のサステナブル生産の歴史があります。きっかけは、1930年にアメリカで起こった大規模な干ばつです。この影響により、このままではアメリカでは農業が成り立たなくなるということで、国を挙げて様々な農法が開発されたり、政策が布かれました。そして、より一人一人の生産者が環境を考えながら、生産していこうと日々取り組んでいきました。そのため、あえて訴求する必要がないという認識でした。しかし、そういった部分も、きちんと消費者に向けて伝えていくことが大切だと見直され、これまでの農法や制度をベースにして、2013年に新たなサステナビリティ認証が出来たのです。

アメリカでは大豆ミートや代替肉は普及していますか。

立石さん:アメリカで代替肉というと、ハンバーガーやソーセージ、ハムなどが主流ですね。あとは、ファーストチェーンにも入っていることが多く、チキンナゲットの代替として、プラントベースのナゲットを出している店舗もあります

大豆アレルギーに対する世界やアメリカでの意識について、アメリカでの取り組みなど教えてください。

立石さん:アメリカではもともと、大豆や大豆製品を日本のように頻繁に食べないので、大豆アレルギーはあまり多くはない印象ですね。逆に、乳アレルギーや、牛乳でお腹を下してしまう人も多いので、そういう子供たちが給食で牛乳の代わりに、豆乳に変更することが認可されているところもあるようです。ただ、大豆もアレルゲンなので、大豆の業界では、アレルゲンフリーの大豆の開発に取り組まれているという話もあります。

立石さんにとっての豆乳の魅力をお聞かせください。

立石さん:私は牛乳が飲めないこともあり、無調整豆乳がおすすめです。はちみつを入れて、冬は電子レンジで温めて飲むのが好きです。お腹がふくれて満足感も得られますし、たんぱく質も摂れるのでよく飲みます。最近は、食事のたんぱく量を気にする方も増えていますよね。たんぱく質の不足を改善しつつ、ヘルシーな食べ物を摂取したいときには、豆乳はとても手軽に摂ることができて、良いのではないかなと思います。


立石さん、アメリカ大豆にまつわる貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

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