豆乳とアスリート

アスリートに不可欠な筋肉づくり

アスリートがスポーツパフォーマンスを向上させるためには、適切な栄養素の摂取が欠かせません。特にタンパク質は筋肉の成長や修復に必要不可欠な栄養素であり、アスリートにとっては非常に重要な役割を果たしています。

人の身体には大小合わせて400種類以上の筋肉が存在し、内臓器官の運動に関係する「平滑筋」(へいかつきん)と、立つ、座る、歩く、持つといった運動に関係する「骨格筋」(こっかくきん)の2種類に大別されます。骨格筋が世間一般で言われている「筋肉」です。

筋繊維が束になったものを筋肉と呼び、筋肉を大きくするためには、筋繊維の一本一本を太くする必要があります。強い負荷がかかると筋線維は炎症を起こしたり、切れて傷ついたりします。人間の体は傷ついた箇所を修復させるように働きますが、傷ついた筋線維がもとよりも強く太い状態に回復することを「超回復」と呼びます。

筋肉をつけるためには傷ついた組織が超回復し、効率的に筋肥大するようにトレーニングを取り入れることが重要です。十分休息を取らずに筋トレを行ってしまうと、筋肉が回復しないうちに再び筋線維を傷つけてしまうことになり「超回復」の状態にはなりません。筋肉をしっかり回復させるためには、48~72時間程度の休息を取ることが必要ですが、休息を取り過ぎるとせっかく太くなった筋肉が元の状態まで落ちてしまうため、2~3日経って回復したタイミングで、次の筋トレを行うのが効率的です。

トレーニングによって筋肉に負荷をかけても、体内に必要なエネルギーがなければ回復のために筋肉が分解されて筋肉量が減ってしまいます。体内のエネルギーが減ると、筋肉量増加に欠かせないタンパク質の合成が減ってしまうため、健康的に筋肉を大きくするためには、体が必要とする栄養素をバランスよく摂取することが大切です。

タンパク質は何種類ものアミノ酸で構成されており、筋肉を作ったり免疫力を維持したりする一方で摂取量が多すぎると体脂肪として蓄積されたりカルシウムが不足したりします。筋肉作りに必要なタンパク質量は体重によって異なりますが、体重1㎏あたり1.2~1.8gが目安と言われています。効率よく筋肉をつけるためにはトレーニングの実施のみならず、筋肉を作るもととなるタンパク質もしっかり摂取することが大切です。

良質なタンパク質とは

タンパク質とは「脂質」、「炭水化物」に並ぶ三大栄養素と呼ばれる大事な栄養素の1つです。タンパク質は人間が活動するための重要なエネルギー源で、20種類のアミノ酸によってさまざまな配列で構成されています。タンパク質は筋力の回復に貢献するほか、タンパク質が不足してしまうと、夏バテや熱中症になりやすくなります。

「良質なタンパク質」とは、タンパク質の栄養価を示す指標であるアミノ酸スコアが100に近いものを言います。アミノ酸スコアが良いものは、生体内での利用効率が良く、余分な老廃物となるものが少ないのが特徴です。良質なタンパク質を含む食品は、肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵類や大豆・大豆製品などで、豆類以外はほとんどが動物性食品です。一般的に植物性タンパク質は、アミノ酸スコアが低くなりがちですが(小豆82、米65、小麦42など)、大豆は100の食材です。

豆乳生活で筋肉をつけよう!

タンパク質を効果的に摂るポイントは、コンビニなどの食材も工夫して組み合わせ、活用することです。大豆が原料の豆乳は、タンパク質が豊富な食材です。100g中のタンパク質量は牛乳で3.3gのところ、豆乳は3.6gあります。豆乳の種類の中では無調整豆乳が最もタンパク質の含有量が多い傾向があります。

豆乳は乳製品ではないため、余分な脂質の摂取や乳糖不耐症に関しても心配する必要はありません。また、豆乳には糖質が含まれていますが、糖質は体内でグリコーゲンやグルコースになり、筋トレ時のエネルギー源として役立ちます。細胞はグルコースからATPというエネルギーを生成しますが、糖質不足だとATPが十分に生成されず、運動パフォーマンスの低下にも繋がります。豆乳に含まれる糖質には、筋肉の分解を抑制する働きもあります。激しい運動により体がエネルギーを必要とすると、体内のグリコーゲンをグルコースに変換して対応しますが、筋肉中にグリコーゲンがない場合、体は筋肉のタンパク質を分解してエネルギーを作ろうとします。筋肉の分解を防ぐためには、糖質の十分な摂取が欠かせません。 良質なタンパク質と糖質を含む豆乳を、トレーニング後に積極的に取り入れてみてください。

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