豆乳はダイエットによいのか? カロリーなど気になるポイントを管理栄養士が解説

「ダイエット中でもコクのある飲み物が飲みたい」そのような人の間で人気が高まっているのが「豆乳」です。豆乳はヘルシーなイメージがありますが、実際のエネルギー(カロリー)や栄養バランスはどうなのでしょうか。

今回は、管理栄養士の視点から、ダイエット中の上手な豆乳の取り入れ方や豆乳の選び方のポイントをご紹介します。

豆乳のカロリーは低いのか?種類ごとの違いを知って選ぼう

「豆乳は低カロリー」という印象を持っている人も多いかもしれませんが、実は選ぶ種類によってエネルギー(カロリー)には差があります。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂増補)」によると、豆乳100gあたりのエネルギーは次の通りです[1-3]。

無調整豆乳:約40kcal
調製豆乳:約60kcal
豆乳飲料:約60kcal

※実際は商品によって異なるのでパッケージに記載の栄養成分表示を確認してください。

ダイエット中に選ぶのであれば原材料が大豆のみの「無調整豆乳」が基本です。調製豆乳やフレーバー付きの豆乳飲料は、砂糖や植物油などが加えられているため、カロリーは高めになります。

豆乳がダイエットに向いていると言われる理由

豆乳は、単に低カロリーであるというだけではなく、痩せやすい体づくりをサポートする栄養素を含んでいます。ここでは、豆乳に含まれる主要な栄養素とその働きについて見てみましょう。

1. たんぱく質が基礎代謝を支える

豆乳に含まれる大豆由来のたんぱく質は、必須アミノ酸をバランスよく含み、「良質なたんぱく質」と評価されています[1]。たんぱく質は筋肉量の維持に関わり、筋肉が減ると基礎代謝も低下するため、体重を落とす際もたんぱく質をしっかり確保することが大切です[4,5]。豆乳は、脂質や糖質を抑えつつたんぱく質を補える点で、ダイエット中の心強い味方です。

2. 不足しがちな栄養素を補いやすい

ダイエット中は食事量が減りやすく、カルシウムやビタミンB群、鉄などの栄養素が不足しがちです。豆乳にはこれらの栄養素が含まれており、調製豆乳などの中にはカルシウムを添加している商品もあります[1,2]。

3. 満腹感をサポートする“丸ごと大豆”の食物繊維

一般的な豆乳(無調整豆乳)には食物繊維はあまり多く含まれていませんが、大豆をまるごと使ったタイプの大豆飲料では、食物繊維を効率よく摂ることができます。食物繊維は胃の中で膨らんで滞留時間を延ばすことで満腹感を持続させ、血糖値の急激な上昇を抑える働きもあることが明らかにされています[6]。

4. コレステロールゼロ&乳製品代替として使うことができます

豆乳は植物性であるため、摂りすぎると生活習慣病を招くと言われるコレステロールを含まず、飽和脂肪酸も少ないことが特徴です[1]。ダイエット中に乳製品の脂質やカロリーが気になる人にとって、豆乳は代替食品としても使いやすく、料理やスイーツでも活用することができます。

ダイエット中の豆乳の取り入れ方

豆乳はそのまま飲むだけではなく、料理にも幅広く使える点が魅力のひとつです。ダイエット中には、次のような取り入れ方が適しています。

◼️朝食に取り入れる:豆乳スムージーや、豆乳入りのオートミールなど、たんぱく質と食物繊維を同時に摂ることができる組み合わせが良いでしょう。

◼️スープや味噌汁のベースに:豆乳を使えばクリーミーさと満足感が増し、油を使わなくてもコクを出すことができます。

◼️間食代わりに:無調整豆乳をそのまま飲むだけでも、小腹を満たすのに最適です。ただし、飲み過ぎはカロリーオーバーに繋がるので要注意です。「豆乳は1日に◯mlまで」という明確な基準はありませんが、無理にたくさん飲むことは控えたほうが良いでしょう。

豆乳は“選び方”と“量”がカギ

豆乳は、栄養面でダイエットの味方になる食材です。ただし、種類によってカロリーや成分が異なるため、「無調整豆乳を選ぶ」「過度に飲み過ぎない」など、ちょっとした意識でダイエット中でも安心して取り入れることができます。おいしく、賢く豆乳を活用して、無理のないダイエットを目指してみてはいかがでしょうか。


【参考文献】(全て2025年4月15日参照)

[1] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆類/だいず/[その他]/豆乳/豆乳
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04052_7

[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 調製豆乳
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04053_7

[3] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆乳飲料・麦芽コーヒー
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04054_7

[4] Nunes EA, et al. Systematic review and meta-analysis of protein intake to support muscle mass and function in healthy adults. Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle, 13(2), 795-810.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8978023

[5] Leidy HJ, et al. The role of protein in weight loss and maintenance. Am J Clin Nutr. 2015 Jun;101(6):1320S-1329S.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523274274?via%3Dihub

[6] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 食物繊維の必要性と健康
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-05-001


【プロフィール】藤橋ひとみ
株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士

東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。すべての人が毎日の食事で 心と体のトラブルを予防・改善できる社会づくりに貢献すべく、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。豆乳マイスター“プロ”のほか大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。
【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/

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