【寄稿】給食の乳アレルギー対応に豆乳を選びたい理由。乳糖不耐症との違いも解説

本記事は、一般社団法人母子栄養協会 代表理事 川口 由美子先生より寄稿いただきました。
子どもの食物アレルギーの中で、牛乳は原因となりやすい食品の1つです。
また、「牛乳を飲むとお腹を下す」といったアレルギーとは異なる「乳糖不耐症」のケースもありますが、見過ごされてしまっているのも現状です。その正しい理解と対応が求められます。
本記事では、乳アレルギーと乳糖不耐症の違いを整理し、給食や家庭で乳製品の代替として豆乳を活用するメリットや、みんなで同じ食事を楽しむ工夫を解説します。
乳アレルギーと乳糖不耐症の違いと適切な見極め
学校や保育所などにおける食物アレルギーへの対応は極めて重要です。
最近の調査によると、食物アレルギーを持つ小学生の割合は6.1%であり、約16人に1人が何らかのアレルギーを抱えている計算になります。
即時型食物アレルギーの原因食物を品目別に見ると、牛乳は全年齢で第3位(13.4%)にランクインしています。
特に7〜17歳の学童期においては、鶏卵に次いで第2位(13.8%)となっており、非常に頻度の高いアレルギーです。 なお、この年齢層での受診理由として「誤食(すでにアレルギーがある子が誤って食べてしまうこと)」が原因の第1位(21.8%)を牛乳が占めている点には、細心の注意が必要です。

また、牛乳を避けるべき人はアレルギーだけではありません。
牛乳を飲んでお腹を下すケースには「乳糖不耐症」の可能性もあります。
これは、乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」の活性が低いために、下痢や腹痛を起こすものです。
食物アレルギー診療ガイドラインにおいても、乳糖不耐症は免疫反応に基づかない反応として、アレルギーとは明確に区別されています。
医学的には別物ですが、どちらのケースも「牛乳を控える必要がある」という点では共通しており、給食現場や家庭での適切な代替食の検討が求められます。
学校給食の現場では、医師による診断に基づき、アレルギーだけではなく、乳糖不耐症のケースでも「牛乳を飲めない子」として代替食の提供など個別対応が行われるほうが望ましいでしょう。
いずれにしても、子どもの成長を妨げないよう、適切な見極めと対応が不可欠です。
乳製品の摂取が困難な子どもへの豆乳を給食や家庭で取り入れるメリット
牛乳の摂取が困難な子どもに対して、給食の現場では「乳除去」の食事が行われます4)。
給食管理上は、「アレルゲンがわかりやすいレシピ」が望まれています。
特に卵や牛乳などアレルギーとして症例数が多く、使用頻度も高いものは、特に必要です。
たとえば、「チーズ入りチヂミ」等の場合、中に隠し味として練りこまれていると、クラスでわからずに提供してしまったりする事故につながりかねません。
レシピの中には、乳製品はわかりやすく上からチーズをみせるようにのせるようにしたりする必要もあるでしょう。
牛乳そのものは、「提供する/しない」がわかりやすいため、配膳ミスが起きにくいものであり、子どもの成長に必要なカルシウムの摂取源として、とても大切であり小学校給食には欠かせない存在です。
乳製品摂取困難な場合の豆乳の重要性
さて、その重要なカルシウム補給源である牛乳の代替として、何を提供するかはよく考えなければいけないポイントです。
カルシウム補給源として小魚や青菜などともいわれますが、実際にそれらを牛乳の代わりとして足すことは難しいものです。
牛乳の利点は、カルシウム補給だけではなく、「飲み物として喉を潤すことができる」というものがあります。
そのことを考えると、牛乳アレルギー食は「牛乳を提供しない」というのではなく、飲み物であり、なおかつカルシウムも摂取することができる、「豆乳を代替食とする」とするのが望ましいといえるでしょう。
現在、いくつかの自治体の学校給食において、飲用牛乳の代替として「豆乳」を提供し、子どものエネルギーや栄養確保に貢献している事例もあります。
豆乳を代替として使う最大のメリットは、乳成分を一切含まずに、牛乳に近い形で料理や飲用に使用できる点です。
子どもたちが同じ献立を楽しめる「共通献立」の工夫
学校給食でのアレルギー対応において、配慮したいことの一つに「子ども同士が同じものを食べられること」があげられます。
例えば、シチューのルウやデザートに牛乳の代わりとして、豆乳や豆乳由来の製品を使用することで、乳アレルギーのある子もない子も、同じ見た目と味の料理を一緒に楽しむことができます。
これにより、アレルギーのある子が感じる「自分だけ違う」という疎外感を軽減するだけではなく、誤食のリスクそのものを減らすことにもつながります。
アレルギー管理の原則としても、安全の確保は最優先事項です。
豆乳にも大豆アレルギーのリスクもありますし、牛乳のほうがカルシウムが多いメリットもあります。
全ての牛乳を完全に置き換えるのではなく、「月に数回、全員が同じものを食べられる日を作る」のもいいでしょう。
みんなにやさしい給食のための「豆乳」
乳アレルギーと乳糖不耐症は、病気の種類は異なりますが、どちらも適切な代替食が必要です。
豆乳は栄養面でも使い勝手の面でも、乳製品の代わりとして使える食材です。
給食や家庭で豆乳を上手に取り入れ、全員が同じ食事を楽しめる工夫をすることで、安全で豊かな食体験を子どもたちに届けていきましょう。
参考文献
- 令和4年度 日本学校保健会「アレルギー疾患に関する調査報告書」2023年3月. https://www.hokenkai.or.jp/publication/reprint.html
- 消費者庁「令和6年度 即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」2025年12月26日. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_241031_1.pdf
- 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」 2021年11月13日. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00691/
- 文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応指針」2015年3月. https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/03/26/1355518_1.pdf
