最新!タイの豆乳事情 part2

タイの豆乳業界の現状と課題

タイの乳製品全体(牛乳、植物性ミルクを含む)の輸出は順調に伸びており、特にASEAN市場は2023年最初の7ヵ月で6.9%拡大しました。豆乳は、Part1で触れたとおり、依然としてタイの植物性ミルク市場をけん引しています。消費者に馴染みが深く、価格も手頃で、タイ市場では豆乳は強く支持されていますが、一方で様々な課題も抱えています。
課題として挙げられるのが、国内大豆生産量の減少、輸入原材料のコスト上昇、新しいタイプの植物性ミルクとの競合などです。
タイでは十分な大豆が生産されておらず、大量に輸入する必要があるためコストが変動しやすいという課題があります。タイ国内の農家が高収量作物に切り替えたため、国内大豆生産量が減少しており、2024年は1万9699トンで前年より落ち込みました。また、2025年の大豆作付面積は6%減少しました。大豆生産量が減少している要因としては、 良質の種子の入手が限られていることや、人件費が高いこと、他の作物の収益のほうが良いことなどがあります。

タイの豆乳はどこの国の大豆から作られているか

国際貿易データと農務省の報告書によると、タイは、国内での大豆の生産量が非常に少なく、完全に輸入大豆に依存しており、年間 300 ~ 400 万トン以上の大豆を輸入しています。
タイの主な輸入元は、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどです。これらの国々は世界最大の大豆生産国で、タイを含むアジアの重要な輸入源です。ブラジル産やアルゼンチン産は、固定価格で大量に輸入できること、アメリカ産は、非遺伝子組み換え規格の大豆を選択できることがタイの輸入大豆シェアを大きく占める要因となっています。
Vitamilk、Lactasoyなどのタイの主要豆乳メーカーの豆乳も輸入大豆を使用しています。
各ブランドには独自の原料源があり、こだわりを示すため「アメリカ産特選大豆」などとラベルに記載している場合もあります。例えば、「DNA Soymilk」を展開するDutch Mill社は「US Soy 認証」を取得しており、アメリカ産大豆を使用していることを明確にしています。
チェンマイやチェンライなどのタイ北部や東北部(イサーン地方)では、地元農家の大豆を使った手作り豆乳を販売する小規模工房がありますが、製品として全国流通するレベルのタイ産大豆豆乳メーカーはありません。

タイで豆乳が広まった理由

大豆生産が盛んではないタイで、豆乳はどのようにして根付いていったのでしょうか。
19世紀〜20世紀初頭にかけて、潮州系を中心とした中国人が大量にタイへ移住した際、豆乳・油条・豆腐・湯葉などの食文化が持ち込まれ、バンコクのヤワラート(中華街) を中心に広まりました。タイは屋台文化が非常に強い国で、朝晩を中心に地方都市のみならず、都会の幹線道路沿いでも多くの屋台を見かけます。豆乳はもともと中国系コミュニティの朝食文化として定着していましたが、タイでも朝の屋台で手軽に飲める健康飲料として人気になりました。現在では、温かいもの、冷たいもの、豆乳ゼリー入り、黒糖や生姜を加えたものなどバリエーションが増え、タイ人の日常飲料として浸透しています。
1970〜80年代には、GreenSpotやLactasoyなど、豆乳を工業的に生産するメーカーが登場しました。これらのメーカーが常温保存できるUHT豆乳を発売してコンビニ・スーパーでいつでも買えるようになったことで、豆乳が家庭の飲み物へと拡大しました。
2000年代以降、タイでは肥満・糖尿病の増加が社会問題になり、健康志向が高まる中で、豆乳がヘルシー飲料として再評価され、若者や女性にも人気が広がりました。
タイは国民の9割以上が仏教徒です。タイには年に10日間ほど、仏教の菜食週間があり、その期間は動物性食品を避ける人が増えます。豆乳はその期間の重要なタンパク源として重宝されています。このような宗教的背景もタイで豆乳が広まった要因と言えるでしょう。

まとめ

2回にわたり、タイの豆乳事情についてお届けしました。タイは、豆乳文化がしっかり根付いている国です。タイを訪れた際は、屋台、スーパー・コンビニなどでいろんな豆乳を試してみてはいかがでしょうか?種類が豊富で、日本の豆乳とは違った味わいなので、お土産にもよいでしょう。

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