忙しい朝こそ、1杯の豆乳を。からだの中から「整う」理由

忙しい朝、「コーヒーだけで出かけてしまう」という方も多いのではないでしょうか。しかし近年の研究では、朝のたんぱく質摂取が、その日の食事バランスや食欲などに影響を与えることが明らかになってきています。
たんぱく質を含む食品が様々ある中でも、手軽に取り入れられる豆乳は、忙しい朝にぴったりの選択。今回は、科学的根拠に基づき、朝に豆乳を取り入れるメリットをご紹介します。
“朝のたんぱく質”が1日の食事バランスを整える
高齢者を対象に行われた4つの研究結果をまとめた解析では、朝や昼にたんぱく質をしっかり摂っている人ほど、1日の総たんぱく質量が十分に確保されていることが示されました[1]。朝食が軽いと、結果的に1日のたんぱく質が不足しがちになります。つまり、「朝にたんぱく質を増やす=1日の低たんぱく状態を防ぐ」ための確かな一手と言えるでしょう。
豆乳は“朝にちょうどいい”たんぱく源
豆乳1パック(200ml)には、卵1個分に含まれるたんぱく質とほぼ同じ約7gのたんぱく質が含まれています[2,3]。加えて、豆乳は植物性で、脂質が少なく、コレステロールゼロなのが嬉しいところ。まさに、忙しい朝でも“飲むだけ”で手軽に栄養をプラスできる、朝のたんぱく質補給にぴったりな食品と言えるでしょう。パンやおにぎり、果物だけの朝食に不足しがちな“たんぱく質の底上げ”に役立ちます。

朝にたんぱく質を摂ると、その後の食欲が安定する?
子ども〜若年層を対象にした研究結果をまとめたメタアナリシスでは、朝にたんぱく質の多い食事を摂ると、その後の食欲が抑えられ、次の食事のエネルギー摂取量が減る傾向があることが明らかになりました[4]。「午前中にお腹が空きすぎる」「間食が増えてしまう」という人にとって、朝に豆乳を足すことは、食欲の安定にもつながる可能性があります。
朝豆乳の取り入れ方
「忙しくて朝ごはんを作る時間がない」という人でも、豆乳なら手軽に取り入れられます。もちろんそのまま飲むだけでも良いですが、豆乳+バナナ+オートミールなど、豆乳にフルーツなどを加えたスムージーも適しています。寒い朝には、温めた無調整豆乳をコーヒーに加えた豆乳ラテもおすすめです。パン派の方は、カップスープをお湯ではなく温めた豆乳で作るなど、ひと工夫してみてはいかがでしょうか。
朝の1杯で、からだを内側から整えよう
近年の研究で、朝のたんぱく質摂取が体のリズムを整える大切なスイッチであるという報告が増えてきました。そのスイッチを入れる1杯として、植物性たんぱく質では豆乳ほど続けやすい飲み物はありません。特に、普段朝食をスキップしがちな方は、さっそく明日の朝から、豆乳で“からだのスイッチ”を入れてみませんか。

【参考文献】(全て2025年11月24日参照)
[1] Verreijen AM, et al. A higher protein intake at breakfast and lunch is associated with a higher total daily protein intake in older adults: a post-hoc cross-sectional analysis of four randomized controlled trials. J Hum Nutr Diet. 2021;34(2):384–394.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8048646/
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆類/だいず/[その他]/豆乳/豆乳
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04052_7
[3] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 卵類/鶏卵/全卵/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=12_12004_7
[4] Qiu M, et al. Effect of protein-rich breakfast on subsequent energy intake and subjective appetite in children and adolescents: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nutrients. 2021;13(8):2840.
https://www.mdpi.com/2072-6643/13/8/2840
【プロフィール】藤橋ひとみ
株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士
東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。すべての人が毎日の食事で 心と体のトラブルを予防・改善できる社会づくりに貢献すべく、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。豆乳マイスター“プロ”のほか大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。
【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/