ベルギーの豆乳事情

ベルギーの食文化というと、チョコレートやワッフル、ムール貝やビールを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。そんなベルギーの豆乳事情を読み解く鍵は、今注目のSDGsや環境問題にあるようです。

SDGsと豆乳の関係とは?

ベルギーの首都ブリュッセルは、EUの中心地でもあります。そんな国際政治の中心地であるベルギーの豆乳事情を読み解く鍵が、日本でも話題のSDGsです。ベルギーでは、豆乳でも1990年代から持続可能な開発への取り組みが進み、2013年には、「生産・消費活動は、天然資源の効率的で持続可能な利用に基づくものとすることを定めたビジョンが策定されています。そのベルギーに本社を構え、ヨーロッパにおけるオーガニック豆乳飲料No.1ブランドが、プロヴァメル(Provamel)です。

高い環境や健康意識が、豆乳消費を牽引

プロヴァメルの豆乳は、日本でも、成城石井やカルディで購入することができるので、飲んだことがある人もいるかもしれません。同社の豆乳は、地球環境維持の観点から、埋め立てや森林伐採がない畑で有機栽培を行っており、非遺伝子組換え大豆のみを使用していることでも知られています。

外国の豆乳の例にもれず、プロヴァメルの豆乳も甘いのですが、そこはオーガニックブランド。砂糖や甘味料ではなく、有機栽培のりんごを濃縮したエキスで甘みをつけているので、甘過ぎず、飲みやすく仕上がっています。いちごやバナナ、チョコレート風味の豆乳飲料もありますので、見かけたら是非手に取ってみてください。ベルギーチョコレートの風味なんて、気になりますよね。

ちなみに、ベルギーの豆乳消費量は、一人当たり年間2.7リットル。日本(3.6リットル)には及びませんが、隣国ドイツ(1リットル)やフランス(0.9リットル)の3倍近い消費量です。ベルギー第三の都市ゲントでは、2009年から、毎週木曜日がベジデー(Veggie Day)とされ、公共施設や学校などでは肉や魚が提供されません。国民の1割がベジタリアンと言われるベルギーで、牛乳よりも環境に優しい豆乳や植物性ミルクの消費が多いのも自然のことかもしれません。健康志向の高まりもあり、ベルギーの豆乳消費量は、これからも伸びていきそうです。

「ミルク」の名称は使えない? 

さて、プロヴァメルのラベルを良く見ると、気が付くことがあります。豆乳のことを英語ではsoymilkといいますが、プロヴァメルの豆乳には、milkという文字がどこにも入っていません。これは、EUには、「ミルク」や「バター」など乳製品用語は、「乳および乳製品を原材料に使用した食品にしか使用してはならない」という規則があるためです。2017年に、欧州司法裁判所により、原材料に乳製品を全く使用していない豆乳などの植物性代替製品には、「ミルク」などの表示をしてはならないとの判決が下され、ヨーロッパではsoymilkとう表記は使われなくなったのです。

ラベルから、各国の規制の違いや制度の変遷を読み解くのも、世界の豆乳をめぐる楽しさの一つかもしれません。ということで、今回はベルギーの豆乳事情についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。次回は、カナダでの豆乳をご紹介する予定です。是非お楽しみに。

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