台湾の豆乳事情
豆乳好きな方なら、おそらく一度は豆花という食べ物を耳にしたことはあると思います。豆花は「まめはな」とは読まず、「トウファ」といいます。日本では、主に台湾から伝わった豆乳で作ったスイーツとして知られています。
台湾では、豆乳は言わずもがな、大豆製品全般が人気で、年間一人当たりの大豆製品の消費量は11キロに達しているというデータもあります。しかし、豆花はそんな大豆料理が好きな台湾人の中でも、長いこと親しまれてきた代表的なスイーツと言えるでしょう。
台湾の豆花
豆花とは、大豆から作った豆乳を凝固剤で凝固させたゼリー状の食べ物で、豆腐よりも柔らかいのが特徴です。しかし、日本人の中でスイーツのイメージが強い豆花ですが、台湾では、実際には地域によって名前が変わるだけではなく、料理の仕方も大きく異なります。
例えば、台湾や中国南部では、甘い味付けの豆花が主流です。その中でも、シロップや緑豆、小豆、ピーナッツ、果物などを加えたミックスデザート風味の豆花が台湾風です。夏は冷たく、冬は暖かくと、季節ごとの美味しさが楽しめます。ちなみに、豆花にさらに豆乳をくわえて出来上がる「豆乳豆花」も人気で、濃厚な味わいが豆乳を愛する台湾人にはたまらない味です。
一方、中国北部での豆花は、醤油で味付けをした上に、だしスープや具材を入れて、朝食として食べられています。この“甘豆花派”と“塩味豆花派”の間では、日本のスナック菓子好きの間で勃発している「きのこの山とたけのこの里戦争」にも劣らない熱戦が日々繰り広げられているそうです。
そして、同じ台湾の中でも、南部と北部では豆花の作り方が違います。南部では、甘いシロップとしっとりなめらかな口当たりが楽しめる王道の豆花が多く、一方、北部ではプリンのようなぷりぷりした食感と、新感覚の豊富なトッピングの豆花が好まれています。トッピングには、今、旬の果物はもちろん、練乳やクリーム、チョコチップクッキーにアイスクリーム、抹茶、そして生姜汁……などなどがあり、豆花との組み合わせの可能性は、まだまだ無限大なのかもしれません。
台湾の豆乳
「一日の計は朝にあり」という昔からのことわざがあるように、中国や台湾では三食の中でも、朝ごはんが最も重要であるという考えが根付いています。バラエティに富んだ多種多様な朝食も、そんな考え方からきているのかもしれません。
台湾の豆花は甘いスイーツですが、豆乳には、砂糖やシロップを入れた豆乳以外に、塩味豆乳の「鹹豆漿(しぇんどうじゃん)」も有名です。台湾の鹹豆漿は、豆花のようにふわっと固められた豆乳の上に、味付けの干しエビやちぎった揚げパンを乗せて仕上げます。サクサクの揚げパンと豆乳の相性がよく、ボリュームもたっぷりと、かなり満足感が高い人気メニューです。余談ですが、台湾では2002年に「鹹豆漿」というタイトルの映画が上映されていました。甘酸っぱく、どこか渋い青春物語ですので、興味ある方は検索してみてください。
…ということで、今回は台湾の豆乳事情についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。次回は、中国での豆乳をご紹介する予定です。是非お楽しみに。