タイの豆乳事情

一人あたりの豆乳消費量が世界一のタイでは、豆乳は朝食と夜食のお供として不可欠な存在です。中華圏では、油条(揚げパン)と豆乳の朝ごはんが人気ですが、タイにも良く似た料理があり、揚げパン(パートンコー)と豆乳(ナムタオフー)を提供する屋台は、タイの街角で朝晩見かける日常風景です。

屋台で豆乳を注文すると、熱々の寸胴鍋に入った豆乳を、ビニール袋に入れてくれます。1杯が10バーツ(35円)程度です。自分のコップや鍋を持参して買いに来る人もいますし、ビニール袋を片手にオフィスに向かう通勤中の人、中には、その場でストローを刺して飲み始める人もいます。屋台によっては、トッピングとして小豆やタピオカ、ゼリーなどを追加することができます。甘くしてほしい場合には、砂糖を入れてもらうこともできますが、砂糖の量を指定しないと大量に入れられてしまうので、注意が必要です。ちなみに、タイ語で甘さ控えめは「ワーン・ノーイ」、砂糖なしは、「マイサイ・ナムターン」といいます。

▲ビニール袋で売られている、トッピング入り豆乳。

黒ゴマや抹茶など、風味を付けた豆乳、ちょっと変わったところでは、かぼちゃ入りの豆乳を提供する屋台もあります。また、バイトゥーイ(タコ椰子)の葉を寸胴鍋に入れて、風味を出す工夫をしているような屋台があるのは、南国タイならではの豆乳の楽しみ方かもしれません。タイでは、自分の好みの屋台があり、毎朝、あるいは毎晩ここで豆乳を買う、と決めている人が多いようです。

▲豆乳屋台(左)

屋台で出される豆乳は、水で割って薄くしていることが一般的です。そのため、厳密には、屋台の豆乳はナムタオフー(豆腐の水)、そしてスーパーやコンビニで売っているパック豆乳はノム・トゥア・ルアン(大豆の水)と区別されます。パック豆乳の種類も様々で、スーパーやコンビニでは、豆乳が棚いっぱいに並んでいます。代表的なブランドは、「Lactasoy(ラクタソイ)」と「Vitamilk(ビタミルク)」です。ラクタソイは、日本のAKB48の姉妹グループであるBNK48をCMに起用したので、名前を知っている人もいるかもしれません。

▲スーパーで売られている豆乳(1段目と3段目)

パックで売っている豆乳には、黒ごまや抹茶、チョコレート、紅茶などの味をつけた豆乳もありますが、どれも甘めの商品が多く、無糖の豆乳はわずかです。タイでは甘い飲み物が人気なので、無糖の豆乳はあまり人気がありません。ラクタソイは、2018年に初めて無糖豆乳を発売したのですが、あまり人気商品とは言えないようです。スーパーでは、粉タイプの豆乳も売っています。個包装タイプのものが多く、コップに入れてお湯を注ぐだけなのでお手軽で、プレーンタイプから黒ごま、ハト麦、小豆、緑豆、黒豆などが入っているものまで、様々な種類があります。ただし、粉豆乳も加糖のものがほとんどで、日本人にとってはかなり甘く感じるかもしれません。

…ということで、今回は一人あたりの豆乳消費量が世界一のタイの豆乳事情についてお話しました。屋台からスーパーまで、豆乳が人々の日常生活に密着した存在であることがお分かりいただけたでしょうか。次回は、米国での豆乳をご紹介する予定です。是非お楽しみに。

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