フランスの豆乳事情

もともと酪農大国であるフランスは、牛乳生産量が多かったのですが、ここのところ生産量は下降傾向が続いており、乳製品市場のテコ入れとして植物性商品を発売する企業が増えてきています。今やスーパーマーケットの棚には、豆乳、アーモンドミルク、ライスミルクなど多種多様な植物性ヨーグルトが並んでいます。今回はそんなフランスの豆乳事情をご紹介します。

近年、豆乳人気が急上昇

パリを中心に、フランスでは、豆乳の需要が増加傾向にあります。現在の生産量は、年間6,4万キロリットルで、一人あたりの消費量は1リットル(年間)に満たないという状況です。その最たる要因には、酪農や畜産業がもたらす環境負荷の問題やウクライナ問題による飼料不足に原材料コストの高騰(牛乳瓶)、アニマルウェルフェア(動物福祉)への関心の高まりがあるそうです。加えて、ヴィーガン人口の増加、フランスでも多いとされる乳糖不耐症患者(約500万人)からのニーズにより、プラントベースの飲み物にスポットライトが当たっています。

健康志向のフランスでは、様々な豆乳が人気

フランスでは、牛乳に代わり、豆乳をはじめ、アーモンドミルク、ココナッツミルク、ライスミルク、オーツミルク等のプラントベースの飲料が、スーパーマーケットでの陳列スペースを広げています。いまやプラントベースの飲料は、大手スーパーマーケットのカルフールやモノプリが、それぞれプライベートブランドの豆乳などを販売するほどの人気になっています。中でも、豆乳は無調整、カルシウム入り、バニラ風味と種類が最も豊富です。ただ、調製豆乳のカロリーは、牛乳よりも高く糖質や脂質が多いことから、健康志向の高いパリジェンヌは無調整豆乳を選ぶ人が多いようです。日本同様に、たんぱく質、イソフラボンなど、大豆に含まれる栄養価が高いことも人気の理由になっています。

フランスのスタバやピエールエルメも豆乳を採用

この数年、プラントベースのミルクに対するニーズが高まっていることから、フランスのメーカーもその生産拠点を増やしています。フランスの食品メーカーであるダノンは、2024年までに国内で植物性由来の食品が50%成長すると予測し、2021年11月に国内にある二つの大型工場のうち一つを、完全にプラントベースの工場にしました。また、フランスのスターバックスでは、2022年3月より、植物性ミルクの「カスタムメイド」を無料でオーダーできるようにしています。ラデュレやピエールエルメでは、既存の商品に加えて、新たに動物由来の材料を使用しないマカロン作りも開始しています。コロナ禍となり、生活習慣も変わってきた中で、ピエールエルメのようなお菓子メーカーでも、乳製品に代わって豆乳やココナッツオイル、ひよこ豆などに代替したプラントベースのマカロンを開発・販売しているそうです。

フランスと言えば、世界の中でも、健康意識や食に対する意識が高い国民です。フランス料理には、“おしゃれで豪華な食事”も多く存在しますが、そんな中でも、植物性食品が年々増えており、ひよこ豆や大豆、小麦タンパク、エンドウ繊維を使用した疑似ミートも数多く発売されています。おしゃれで豪華で美味しいフランス料理にも、大豆や豆乳が取り入れられ、ヘルシーさが加わっているようです。

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