老化予防に!?豆乳生活で健康に年を重ねよう!

9月16日は敬老の日。お年寄りを敬い、さらなる長寿を願う日です。

WHO(世界保健機関)が発表した2023年版の世界保健統計によると、日本の平均寿命は84.3歳で世界第1位です[1]。近年では「健康寿命」に注目が集まっていますが、この言葉をご存じでしょうか。

近年注目されている「健康寿命」とは?

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活に制限されることなく生活できる期間を指します。従来は平均寿命が広く用いられてきましたが、生きている状態(QOL:生活の質)を勘案することが重要であるとの認識が高まり、健康寿命が重視されるようになりました。平均寿命と健康寿命の差は、身体機能の低下や疾病により日常生活に制限が生じる不健康な期間を表しているため、なるべくその差を縮める必要があります [2]。

「健康寿命」を延ばすには?

健康寿命を延ばすためには、日々の生活習慣を見直して疾病の発症・重症化予防や介護予防のためにフレイル(※)対策をすること等が重要であることが、2019年に厚生労働省が策定した「健康寿命延伸プラン」で提唱されています[3]。

※「フレイル」とは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態として、日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。高齢者に見られる身体的な機能低下の状態を指し、筋力の低下や栄養不足、活動量の減少などが特徴です[4]。

豆乳は「健康寿命」の延長に貢献する?

現時点では、豆乳の摂取と健康寿命との直接的な関連についての研究報告は限られています。よって健康寿命との直接的な関連について言及することは難しいですが、豆乳にはたんぱく質や大豆イソフラボン等、生活習慣病やフレイル予防に役立つと考えられている栄養素や機能性成分が含まれていることから、日々の食生活に豆乳を取り入れることが健康寿命の延長に貢献する可能性があると考えられています [5-7]。

今回は特にフレイル予防に着目して、豆乳が貢献できる可能性をみていきしょう。

豆乳が「フレイル予防」によいのは本当?

▶️骨格筋量・筋力の低下の予防

筋力が衰える「サルコペニア」は、「フレイル」の主なリスク要因の1つです [8]。最近何かと注目されているたんぱく質は、筋肉の維持や修復に必要な栄養素です。たんぱく質を十分に摂取することは、サルコペニアを予防し、フレイルの進行を抑えるのに役立ちます[9]。豆乳には良質なたんぱく質が含まれていることから、日々の食生活にプラスしていくことで筋力の維持に貢献できる可能性があると考えられます。

▶️骨密度の維持

骨密度の低下は「フレイル」のリスク要因の一つです[8]。豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、特に女性において骨粗鬆症の予防(骨密度の維持)に役立つ可能性があることが明らかにされています[6]。

▶️栄養バランスの向上

栄養不足はフレイルの主要なリスク因子の一つですが、高齢になると食が細くなり低栄養になりやすくなる傾向があります。豆乳はたんぱく質のほか、不足しがちなビタミンやミネラルを含み、全体的な栄養状態を改善するのに役立つと考えられます[5,7]。調理も不要でそのまま手軽に飲めむことができ、常温で長期保存ができる豆乳は高齢の方におすすめしたい食品の1つです。

豆乳生活でおいしく健康に年を重ねよう

フレイル予防は、高齢になってからではなく1歳でも若い頃から取り組むことが大切です。先延ばしにせず、できることから生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。

言うまでもありませんが、健康寿命を延ばすためには、豆乳を飲むだけではなく、バランスの取れた食事や適度な運動も重要です。豆乳を毎日の食生活に取り入れて、おいしく健康的に年を重ねていきましょう。


【参考文献】(全て2024年8月31日参照)

[1] WHO, World health statistics 2023
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/367912/9789240074323-eng.pdf?sequence=1

[2] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 平均寿命と健康寿命
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html

[3] 厚生労働省.

第2回2040年を展望した社会保障・働き方改革本部 資料4 健康寿命延伸プラン
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000514142.pdf

[4] 一般社団法人日本老年医学会, フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf

[5] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年, 豆類/だいず/[その他]/豆乳/豆乳
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04052_7

[6] 内閣府食品安全委員会, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html

[7] 消費者庁, 栄養成分表示及び栄養強調表示とは(食品成分基準)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/assets/food_labeling_cms206_20220531_02.pdf

[8] 日本サルコペニア・フレイル学会.サルコペニア診療ガイドライン2017年版
https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00426.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b

[9] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf


【プロフィール】藤橋ひとみ

株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士

東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。すべての人が毎日の食事で 心と体のトラブルを予防・改善できる社会づくりに貢献すべく、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。豆乳マイスター“プロ”のほか大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。

【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/

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