豆乳を使用した補食を提案!中高生アスリートをサポートする駒沢女子大学
駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科では、2017年から「アスリート栄養サポートプロジェクト」を実施しており、管理栄養士を目指す学生と共にアスリートへの栄養サポートについて学び、実践していくプロジェクトを実施しています。同プロジェクトの中では、豆乳を使用した補食も提供されています。そこで今回は、駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科の曽我部 夏子先生に、「アスリート栄養サポートプロジェクト」についてお話しをお聞きしました。
自己紹介をお願いします。
曽我部先生:駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科の曽我部 夏子です。本学科の特徴的な取り組みとして、アスリートへの食育活動を通して、スポーツ栄養学を実践的に学ぶ「アスリート栄養サポートプロジェクト」があります。管理栄養士を目指す学生とともに、思春期の女子アスリートへの食育活動や高校野球部選手への個別栄養サポート等を実践しております。本プロジェクトのロゴマークは、「ご飯を食べて花を咲かせて活躍しよう」という意味が込められております。
「アスリート栄養サポートプロジェクト」について教えてください。
曽我部先生:「アスリート栄養サポートプロジェクト」は、管理栄養士を目指す学生が、特に女性アスリートを対象にサポートしながら、実践的な学びをする食育プロジェクトです。2017年頃から活動しており、活動内容は年を追うごとに充実させております。現在は、中高生アスリートを中心に、エネルギー補給のための補食の提供や、食や栄養に関する情報提供を行っています。中高生の部活レベルで頑張っているアスリートの他、サッカーのWeリーグの下部組織のチームに対してもサポートを行っています。
曽我部先生:特に中高生アスリートは、運動によってエネルギー消費量が多い上に、成長のためにエネルギーが必要であるため、エネルギー不足が問題になります。そこで、通常の食事の補食として、簡単に作ることができ、自宅でも再現できるようなレシピを提案しています。実際に学生が作った補食を食べ、味や効果を実感してもらうことで、補食を自分で準備して習慣的に食べるようになることを目指しています。
補食の中には、豆乳を使用されているものもありますが、なぜでしょうか。
曽我部先生:補食は、スーパーマーケットで簡単に手に入る材料を使用して、家庭で手軽に作ることができるレシピであることが重要です。豆乳や豆製品はスーパーやコンビニなどで手軽に入手でき、良質なたんぱく質や脂肪酸が豊富なため、よく補食づくりに取り入れています。また、豆乳をはじめとする豆製品は、日常生活の中で摂取している人と、摂取していない人の差がはっきりしやすい食品です。そのため、簡単な摂取方法として、豆乳を使ったメニューを紹介することで、豆乳や豆製品を積極的に摂ってほしいと思っています。
曽我部先生:補食レシピについては、基本的に学生達に任せていますが、単に美味しいだけではなく、“たんぱく質を摂取できる”、“カルシウムを摂取できる”といった、栄養学的な要素も意識しながらレシピを考えてもらっています。
補食には、どの種類の豆乳を使用することが多いですか。
曽我部先生:使用する豆乳はレシピによって選んでいます。紅茶風味のものを使いたいということで、そのフレーバーを活かした補食を作る学生もいれば、無調整で砂糖や他の食材で甘みを付けたりする学生もいるので、ケースバイケースです。
近年では、プロテイン飲料や食品が普及していますが、プロジェクトを実施してから7年間で、中高生アスリートの意識の変化や傾向などはありますか。
曽我部先生:筋肉量を増やしてパフォーマンスを高めるために、たんぱく質を取らなくてはいけないという意識は、どの競技レベルの中高生アスリートでも高まっていると思います。たんぱく質は、必ずしもアスリート向けの特殊な食品やプロテインバーでなくても、日常的に食べている食品からも補給することができます。一方、たんぱく質だけを摂取していても、エネルギーが不足していれば筋肉量を増やすことはできません。
曽我部先生:そのため、普段の食事を見直すことが重要です。特殊な食品ではなくても、まずは普段の食事に、豆乳や牛乳などの一般的な食品をプラスすることで改善できます。現在は家庭の経済状況は様々で、“子どもにプロテインバーを買ってあげたいけれど、高価で買うことが難しい“というご相談を受けるケースもあります。特殊な製品でなくても、日常的に食べている食品からも、筋肉づくりのためにたんぱく質を補給することができることをお伝えしております。
今後の展望について教えてください。
曽我部先生:色々な活動に関わらせていただくなかで、正しい情報にアクセスできていない中高生が多いような印象を受けます。スマートフォンの普及により、SNSで簡単に多くの情報を得ることができるようになりましたが、選手たちは発信元が明らかな正しい情報を選ぶことが難しいようです。そのため、私たちはスポーツに役立つ食育活動で、自分の食生活や身体に興味を持ってもらうための知識のみならず、健康問題で困ったときにアクセスしてほしいサイトの情報の提供も行う食育活動に取り組んでおります。様々なスポーツで、部活動で楽しみながら競技力の向上を目指す層の競技人口が多いので、その層の選手に対する食育活動を、学生と一緒に草の根運動的に継続していきたいと思っております。そのために、私たちも学びながら、中高生の皆様の健康増進の一助になれたらよいと思っております。
曽我部先生ありがとうございました。