北海道の豆乳事情

北海道は日本一の大豆の産地です。2023年における都道府県別の大豆の生産量の全国計は260,800tですが、トップは北海道の115,600tで、シェアでは44.3%となっています。大豆は基本的に輸入が多い農作物ですが、国内では北海道で最も多く生産されています。

北海道では、「とよまさり」をはじめ、大豆の最高級品種「鶴の子」、納豆用として高い人気を誇る小粒品種の「スズマル」など、多種多様な大豆が作付されています。

今回は、そんな大豆生産地、北海道にまつわる豆乳の話題をご紹介します。

日本一の大豆生産地、北海道の大豆の品種とは

「とよまさり」は、国産大豆の主産地である北海道を代表するブランドで、 美味しさの目安である「ショ糖」の含有率が一般的な大豆より高いのが特長です。「とよまさり」は、国内において国産大豆の中で最も多く利用されている大豆であり、製品別でみても納豆を除き、豆腐・豆乳、味噌、煮豆で「とよまさり」が一番多く使われています。これだけシェアが多いことから、どの大豆食品に使っても美味しいということが言えます。

「とよまさり」は実は品種名ではなく、複数の大豆品種をまとめた「産地品種銘柄」と呼ばれるものです。産地品種銘柄とは、農林水産省が定めた、特定の産地で栽培される農産物のブランドで、産地品種銘柄に指定されると、産地と品種名を表示することが可能になります。

「とよまさり」は、「トヨコマチ」、「トヨハルカ」、「トヨホマレ」、「とよまどか」、「とよみづき」、「トヨムスメ」、「ユキホマレ(ユキホマレRを含む)」の7つの品種から構成されています。(2024年3月時点)

キッコーマンソイフーズ株式会社では、PREMIUM SOY MILKとして、大豆の中でも甘みが強いと言われている北海道産大豆を100%使用し、大豆と水だけでつくった無調整豆乳を販売しています。

「豆乳」で産学連携、北海道文教大学の取り組み

北海道文教大学では、農産物を活用した新商品開発や原料を無駄なく使用するシステム構築を目指し、2022年4月、株式会社ふくれん(福岡県朝倉市)と包括連携協定を締結しました。

2023年7月、「株式会社ふくれん×北海道文教大学」の包括連携協定記念事業として、ふくれん豆乳レシピ発表会が開催されています。レシピ開発の過程では、健康栄養学科食品開発Lab.の学生が、ふくれんの工場を訪れ、豆乳商品のおいしさの秘訣やSDGsへの取り組みを見学しました。発表会では、学生が開発したレシピの紹介や既に開発が進んでいる14品のうち、3品の試食が行われました。北海道文教大学では、工場見学で得た知見や商品開発の背景をもとに、年間約60品のレシピ開発を予定しており、 今後も幅広い世代に向けて情報発信することで、ふくれんのファンを増やし、豆乳商品や農産物の価値を伝えていきたいとしています。

大豆生産地北海道で豆乳が生産されないワケとは?

北海道は日本一の大豆生産地ではありますが、豆乳はあまり製造されていません。北海道で豆乳があまり製造されない理由は、いくつかの要因が考えられます。

まず、豆乳の主原料である大豆は、北海道で栽培されていますが、豆乳の製造には特定の設備や技術が必要です。豆乳は液体食品であるため、製造過程での衛生管理や保存技術が重要であり、これらの設備が整っていない場合、製造が難しいことがあります。大豆の品質や加工技術も重要であり、これらを確保するためのコストが高い場合、製造が難しくなることがあります。

また、北海道は酪農も盛んであるため、豆乳の需要が他の地域に比べて少ない可能性もあります。2022年における、生乳生産量の全国計は7,617,473tですが、トップは北海道の4,309,275tで、シェアでは56.6%となっています。このような地域事情から豆乳の市場が限定的であるかもしれません。

今回は、日本一の大豆生産地、北海道の豆乳についてご紹介しました。北海道の大豆や豆乳についてさらに深掘りしてみるのも面白いでしょう。

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