【寄稿】第四回 「豆乳とコーヒーのマリアージュ:最高健康飲料など」
本記事は、国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野 分野長 増富 健吉先生より寄稿いただきました。
さて、今回は豆乳とコーヒーのマリアージュとしてのソイラテについて。ここまで、豆乳は優秀なタンパク質補給源であること、タンパク質の必要性、豆乳に含まれるイソフラボンの効果などを紹介してきました。また、コーヒーに関しては肝臓がん発がん予防効果やコーヒーに含まれるクロロゲン酸のポリフェノールとしての効果などを書いてきました。これら、豆乳とコーヒーとの良いとこどりをした飲み物がソイラテです。単純な理解でいけば、二つの飲み物の相加効果は簡単に説明ができます。しかしながら、医学や科学はそう簡単にはいきません、予想もしない遠隔効果や相乗効果が出てくることもあるのです。

今日は、「遠隔効果」の一つとして、「臓器連関」という言葉をご紹介しましょう。昔から、「ストレスがあると胃がキリキリ痛む」とは「腸は脳ほどに考える」などと言います。脳と腸は繋がっているのかと思うような経験を多くの人はしていると思います。当然に、脳と腸は自律神経という「電線」で物理的に繋がってはいるのですが、最近の研究ではこの物理的なつながりだけではなく目には見えないつながりがあることがわかってきています。これを臓器連関と言います。例えば、腸内環境を整えることは、精神的な安定、睡眠への好影響などの影響があることが多く報告されています。これまでの、科学では自律神経の乱れで説明していた脳と腸のつながりも、実はさまざまなシグナル伝達や空間的連携を介して繋がっていることが証明されてきています。脳と腸、腸と肝臓、筋肉と脳、脳と心臓、筋肉と心臓などこれまで予想もしない繋がりが解明されてきています。
今後も、現在は予想もしないような繋がりが見つかり新しい医学の展開があるかもしれません。例えば、筋肉と眼、筋肉と鼻、筋肉と耳、などなど。筋肉は今までは「力」の根源というイメージでしたが、これからは筋肉は「感覚やメンタル」の源と考えられる時代が来るかもしれません。その意味では、豆乳によるタンパク質補給で健全な筋肉の維持をすることは時代を先取りした健康維持方法になるのかもしれません。

前回、少し書きましたが、豆乳で腸内環境を整えることも脳腸連関の観点から、今は誰も予想していない効果につながる可能性も十分あり得ると思います。コーヒーも同じです。日本では、カフェインはどちらかといえば悪者扱いされていますが、アメリカでは適量のカフェインは鎮痛効果があり頭痛の時などは「コーヒーを少し飲めば」とよくアドバイスされます。さらには、適量のカフェインは最大筋力発揮には効果的で、筋トレ時にカフェインを適量摂取して健康な肥大した筋肉をつけるためには効率的だと思います。ソイラテを飲むことで最大筋力を発揮し、同時にタンパク質補給をし大きな筋肉をつけ、筋肉脳連関で健康なメンタルの維持。さらには豆乳効果の腸内環境を整えて、脳腸連関で良質な睡眠と健全なメンタルの維持でさらに肥大した筋肉の獲得と好循環の維持という感じでしょうか。

今回、他の媒体で記載したエッセイをきっかけに、この度、『豆乳あるあるマップ』でソイラテの「効能効果」までを執筆させていただく機会を頂きましたが、豆乳「学」も現在の医学、科学で考えると深い食品であることに気がつきました。豆乳だけが全てではありませんが、良質なタンパク質の摂取は健康維持に重要なことであることは疑いの余地はありません。高タンパク低カロリーの食事を心がけ、適度な運動で筋肉の維持をすることを基本とした生活を心がけようと改めて思いました。
