豆乳vs牛乳、どっちがいいの?栄養素のついて管理栄養士が解説

皆さんは、豆乳と牛乳のどちらを飲むことが多いでしょう?この記事を読んでくださっている方の多くは「豆乳」と答えるかもしれませんね。最近はオーツミルクやアーモンドミルクなど、さまざまな植物性ミルクを目にするようになりましたが、豆乳と比較される飲み物の代表的存在は「牛乳」と言っても過言ではないでしょう。

豆乳は牛乳の代わりになるの?

豆乳マイスター”プロ”として活動をしていると、度々この質問を受けることがあります。実際のところ、この質問への答えは、飲む人の体質や飲む目的、着目する栄養成分によって異なるので、一概にどちらの方が良いとは言い切れません。

豆乳は大豆から絞った植物性食品、牛乳は牛の体内で血液から作られる動物性食品という点で異なります。植物性か動物性かの違いはあっても、両方ともたんぱく質を多く含む飲み物という点で共通しています。

それでは、具体的にはどのような違いがあるのか栄養素の面で比較してみましょう。

豆乳、牛乳に含まれる栄養素の違いとは?

豆乳、牛乳ともに複数の種類がありますが、今回は大豆から絞ったまま加工されていない無調整豆乳と普通牛乳で比較していきます。

《100g当たりの栄養価比較》   ※( )は推定値

 無調整豆乳普通牛乳
エネルギー44kcal61kcal
たんぱく質3.6g3.3g
炭水化物3.1g4.8g
食物繊維0.2g(0g)
脂質2.0g3.8g
飽和脂肪酸(0.32g)2.33g
カルシウム15mg110mg
1.2mg0mg
▲出典:文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』

まず、たんぱく質は豆乳も牛乳もほぼ同程度含んでいますが、豆乳の方が低糖質・低脂質のため、エネルギー(カロリー)が低い傾向があります。さらに、脂質の中でも生活習慣病予防のためになるべく避けたい飽和脂肪酸は、牛乳には含まれていても、豆乳にはほとんど含まれていないのは、豆乳が優れている点だと言えます。ダイエットや生活習慣病予防のためには、豆乳を選ぶとメリットがあると言えそうです。

そのほかビタミン、ミネラルで注目すべき違いがあるのはカルシウムと鉄です。これら2つは、特に日本人が不足しがちな栄養素なので日々の食生活の中で意識して摂る必要があります。カルシウムはやはり牛乳が圧勝で、豆乳の約7倍も多く含んでいます。逆に鉄に着目すると、豆乳には含まれても牛乳には含まれていないため、豆乳の方が優っていると言えるでしょう。

牛乳の場合はカルシウム、豆乳の場合は鉄を、それぞれコップ1杯(200g)飲むことで成人が一日に摂りたい推奨量の約1/3日分近くをとることができます。

豆乳も牛乳もどちらも上手に取り入れよう!

豆乳にも牛乳にも、それぞれ良い点があるのを知っていただけましたでしょうか?豆乳には他にも大豆イソフラボンなどの機能性成分が含まれていることや、牛乳由来のたんぱく質の方が筋肉強化には効果的であることなど、今回紹介しきれなかった違いもありますが、結論としては豆乳も牛乳もどちらが良い、悪いと決めることはできません。どちらも上手に日々の食生活に取り入れて、それぞれに足りない要素を補いながら活用していくのが賢い食べ方と言えるでしょう。


[参考文献](全て2022.1.26参照)

文部科学省, 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

無調整豆乳:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04052_7

牛乳:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_7


なお、豆乳マイスター通信は、管理栄養士の藤橋ひとみさんにご担当いただいています。

プロフィール
株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士。
大手食品メーカー開発職、ベンチャー企業での勤務を経て、フリーランスの管理栄養士として独立。商品開発コンサルティング、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得に向けて栄養疫学研究を行っている。豆腐好きが高じて、さらに知識を極めるべく、大豆関連資格の制覇に挑戦中。管理栄養士の知識を活かしながら、大豆製品の魅力を発信している。

【所有資格】
管理栄養士、栄養士、調理師、製菓衛生師、
豆乳マイスター”プロ”、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、
いなり寿司マイスター、おから再活プロデューサー、
ソイオイルマイスタープロ、納豆真打、みそまるマスター、
インナービューティープランナー、ほか

【ホームページ】
https://is-food-health-labo.com/

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