豆乳の注目すべき栄養素とその働きとは?
最近、改めて豆乳がメディアで脚光を浴びています。その人気の理由として、手軽に栄養補給できること、昔よりも美味しく飲みやすくなっていることなどがあるようです。
今回は改めて豆乳の栄養素に着目し、その魅力を詳しくご紹介していきます。
豆乳にはどのような栄養素が含まれているの?
大豆と水のみを原材料とする無調整豆乳コップ1杯に含まれる一般的な栄養成分は次の表のようになります[1]。
【豆乳コップ1杯(200g)に含まれる栄養素】
注目すべき栄養素はコレ!
豆乳には様々な栄養成分が含まれていますが、中でも豆乳から効率的にとれる栄養素をご紹介します[2]。
■たんぱく質
豆乳には、大豆由来の良質な植物性たんぱく質が含まれています。たんぱく質は、体を作る元となる成分で、筋肉や皮膚、臓器などの材料になるだけではなく、酵素やホルモンとして代謝を助ける働きや、免疫細胞の元となり生体防御にも役立っている重要な栄養素の一つです。
■カリウム
私たちの体に必要なミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをしています。ナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節する上で重要で、カリウムを多くとると血圧が下がる傾向があることが分かっています。神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっていて、体液のpHバランスを保つ役割も。
■鉄
私たちの体に必要なミネラルの一種で、赤血球のヘモグロビンに多く存在しています。鉄が不足すると、赤血球の中のヘモグロビンが減って赤血球の数が減るため、酸素の供給が十分にできない状態となり、鉄欠乏性貧血の原因となります。
■葉酸
水溶性ビタミンであるビタミンB群の1つです。葉酸が不足すると、妊娠中の葉酸欠乏性貧血の原因となるため、妊娠中は特に十分な摂取が必要な栄養素です。数多くの疫学研究から、受胎前後における葉酸摂取により。胎児の神経管閉鎖障害(NTDs: neural tube defects)の発症リスクが低減することが報告されています。
大豆イソフラボンはどのくらい含まれている?
大豆イソフラボンとは、主に大豆の胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種のことをいいます。人体に必須の栄養素ではありませんが、植物エストロゲンのひとつといわれ、その化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ているため、骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減等に有用と言われています。豆乳コップ1杯(200g)には約50mgが含まれています[3]。
※大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値:70〜75mg/日
豆乳でおいしく栄養補給を
豆乳は大豆の栄養がぎゅっと詰まった食品。大豆食品には様々なものがありますが、豆乳はそのまま飲めることから、特に気軽に取り入れることができるのも魅力の1つです。ぜひ毎日の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献:
[1] 文部科学省, 日本食品標準成分表2020年版(八訂), 豆類/だいず/[その他]/豆乳/豆乳
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04052_7&MODE=1
[2] 厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
[3] 内閣府食品安全委員会事務局, 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html#2
【プロフィール】藤橋ひとみ
株式会社フードアンドヘルスラボ 代表取締役、管理栄養士
東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。すべての人が毎日の食事で 心と体のトラブルを予防・改善できる社会づくりに貢献すべく、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広く活動中。豆乳マイスタープロのほか大豆製品に関する資格を多数取得し、管理栄養士の知識を活かしながら、その魅力を発信している。
【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/