【寄稿】第6回:筋肉論(2)

本記事は、国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野 分野長  増富 健吉先生より寄稿いただきました。

豆乳といえば、「大豆たんぱく質」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。たんぱく質は、筋肉をはじめ、私たちの体をつくる大切な栄養素のひとつです。では、そもそも私たちの「筋肉」は、どのような仕組みで動いているのでしょうか。腕や脚など、自分の意思で動かせる筋肉がある一方、実は胃や腸、心臓などにも筋肉があり、私たちが意識しなくても絶えず働き続けています。今回は、そんな筋肉を「自分の意思で動かせるか」という視点から見ていきます。

筋肉づくりの観点から、随意筋、不随意筋について、今回は、国立がん研究センター研究所・がん幹細胞研究分野 分野長の増富健吉先生にご寄稿いただきました。

前回は筋肉の分類を、インナーマッスルとアウターマッスルに分ける分類についてお話ししました。インナーマッスルを重点的に鍛える方法が、今流行のヨガやピラティスだという話でした。今回は、筋肉を「自分の意思で動かすことができる」かどうかで分類して見ようと思います。
皆さんは自分の意思で力こぶを作ることができます。足を曲げたり、腹筋運動、スクワット、走る、飛び跳ねたりなどの運動動作も全て自分の意思で動かすことができます。このように、自分の意思で動かすことができる筋肉を「随意筋」といいます。筋トレマッチョが日々鍛えている筋肉は「随意筋」なのです。
それでは、自分の意思では動かすことのできない筋肉の例をあげることはできますか?意外かも知れませんが、「胃、小腸、大腸などの腸管、膀胱、心臓などの臓器」は実は筋肉でできています。このような臓器は収縮することで臓器としての役割を果たしていますが、臓器を自分の意思で動かすことができるヒトはいません(医学的には居ないはずです)。このような筋肉を「不随意筋」と言います。では、このような臓器(不随意筋)はどのようにして動きがコントロールされているのでしょうか?
実はこれらの臓器は、自律神経という全身に張り巡らされた神経ネットワークとホルモンにより動きが制御されています(心臓に関しては、ナトリウムとカリウムとカルシウムというミネラルの存在下に自動で動くという少し特殊な特徴はありますが)。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類が有り、簡単に解りやすく言えば交感神経は戦闘モードで動く神経、副交感神経は栄養、休息、子孫繁栄のために働く神経です。食事をして食べ物が胃や腸管を通過すれば、「栄養」を最優先にするため副交感神経が働き、胃や腸管に収縮せよという命令を出し胃や腸管が収縮します。逆に、敵がやってきて戦闘状態になると交感神経が働き、心臓に「闘うモード」の指示を出し、全身に血流を送り出させることで脈拍を上げ、血圧をあげ、目を見開かせて戦いに専念させます。また、色々な臓器が放出するホルモンは遠隔臓器に指示を出し、様々な内臓の筋肉の収縮や弛緩に関与しています。
現代人ではこの自律神経に乱れが生じやすく、本来戦いのモードの時に戦いモードが維持できないひとや、逆に休息モードの時に上手く休息できないひとが多くなっています。また、ホルモンバランスの乱れも内臓の働きに影響を及ぼすのです。
このように、筋肉でできている内臓を動かす自律神経のバランスの維持や正常なホルモン分泌は、我々の健康な生活のために欠かせないことです。食事による自律神経やホルモンのバランスの維持は、最低限心掛ける要素であると思います。果たして豆乳に自律神経へのよい効果やホルモン産生に及ぼす影響があるかどうかは、過去に専門家が記載されているはずですのでそちらを読んで見てください。

【もっと知りたい方へ】
「豆乳に含まれる大豆イソフラボンとは?」
「大豆たんぱく質と健康」
「豆乳に含まれる栄養成分について」

豆乳協会からのワンポイント
筋肉というと、腕や脚、腹筋などをイメージしがちですが、私たちの体の中では、自分の意思とは関係なく働く筋肉も生命活動を支えています。そして、こうした体のさまざまな働きを健やかに保つためには、運動や休息、睡眠とともに、毎日の食生活を大切にすることも欠かせません。豆乳には、体をつくる材料となる大豆たんぱく質をはじめ、大豆イソフラボンなど大豆由来のさまざまな成分が含まれています。毎日の食事は、いわば体づくりの積み重ねです。身近な一杯の豆乳をきっかけに、自分の体の仕組みや、日々の食生活について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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